「秘書です、失礼します。」
「……来たか。」
「あ、レナード将軍。おはようございます。
……あれ?それにボイス元帥も。
どうしたんです?珍しくこんな朝早くに召集かけて?」
「うむ。……これで全員揃ったのか?」
「アークがまだいませーん。」
「ああ、アークだったら一週間前から行方不明のままになってるぞ。」
「……今度はどこ行ったんですか?アークライト師団長。」
「なんでもセントラル港に用事があるとか行ってたわよ。
親戚の誰かがその港にいるとかなんとかで、
迎えに行ったらしいけどー。」
「ま、いつかみたいにそのうち帰ってくるだろ。」
「……誰にも心配されないアークライト師団長って一体。」
「あらぁ、秘書ちゃん。 あたしちゃんと心配してるわよー☆」
「そ、そうですよね、やっぱりユリア師団長は……。」
「ちゃんと夜はおなかに布団かけているかなぁとか、
一日三食きちんと食事取っているかなぁとか、
あとおみやげ買ってきてくれるかなぁとか☆」
「……そういう心配なんですか?」
「とにかく、来ていないのはアークだけだな?」
「ちょっと待って、コペルニクス副師団長もいないわよ?」
「あいつならさっき城壁のところで高枝切りバサミ磨いていたぞ。」
「……まぁよい。時間もないことだ、早速作戦の説明を行う。」
「作戦?」
「ちょっと待て、軍事行動なのか?」
「うむ。師団長クラスの人間にのみ動いて貰う作戦行動だ。」
「それで、どんな作戦内容なんだ? 敵は?」
「……昨日、
儂の部屋にたまたま間違えて舞い込んだ手紙によれば
奴が、奴が今日帰ってくる。それを阻止するのだっ!!!」
「奴?……って、誰です?」
「奴は奴だ。」
「わかんねぇってば。」
「J。あの男の進入を阻止せよっ!」
「あのー、イニシャルだけ言われても
誰だか特定できなくて困るんですが……。
せめて似顔絵とかないんですか?」
「名前?奴に名前などいらんっ!
……かつて奴に与えられた次期師団長候補という肩書きはまだ残ったままだ。
もし奴の帰還を許すことになればその肩書きは実質的なものになってしまう!」
「え?次期師団長候補なんですか?その人って?」
「10年前から、一応な。」
「10年前?え?どういうことです?」
「とにかく、絶対に奴の侵入を阻止しろ!いいなっ!?」
「あのー、話が全然見えてこないんですけど……。」
「そうか。物わかりの悪い秘書は解雇、と……」
「あー嘘です。
わかりましたわかりました
よくわからないけどとりあえず最善を尽くしますー。」
「そうかそうか。よくぞいってくれた。うむ。」
(……なんだか、
大変なことになっちゃったなぁ。
まぁいつものことだけど。)
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