「……だが、あまり公に調べるわけにも行かない、か……。」
「カイザリアの第十三次北方調査隊の話か?」
「ああ。念には念を入れ、慎重に調査をしなければならない。」
「『石橋を叩いて壊す』というやつだな?
大きなハンマーでこう、がんがんっ、ぴしっ
がらがらがら、どぼーんって感じに。」
「壊してどうする。渡るんだ、石橋を。」
「そう、それ。似てんじゃん。」
「…………とにかく、
関係者と思われる人物に気づかれないよう調査しなければならない。
万が一バレてしまえば、いままでの国外調査が無駄になってしまう。」
「『お湯の泡となる』というやつだな?」
「水だ、水。沸騰させてどうする。」
「そう、それ。いっしょいっしょ。」
「…………とにかく、
いちど調査方法を考え直さないといけないな。
お前にこれ以上国外で活動してもらうわけにもいかないしな。」
「用心深いな、レナード。
それが『転んだ先の杖』ってやつか?
最初から持っていれば悔やまなかったのになぁ。」
「……ジュリアス。」
「ん?なんだ?」
「もういっかい初等学校に行って国語の勉強し直してこい。」
★★