Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
城壁

夏のゆるやかな日差しが、城壁の白い輝きをより際だたせる。
日光の直接反射を防ぐために表面加工されているものの、
やはりその眩しさを完全に防ぐことは出来ないようだ。

だがその目映さは、色彩的なものだけではない。
先の大戦を守り抜いた、偉大な城壁への信頼の光なのかもしれない。

その一切継ぎ目のない城壁の前で、何やら高枝切りバサミを振り回している男がいる。



「あ、いたいた。コペルニクス副師団長!」

コペルニクス 「ちゃきーん。
 なんだね、ああそうかそうか。皆まで言うな。
 俺様の華麗なる高枝切りバサミを見に来たのか。」

「違います。」

コペルニクス 「まあ聞け。実はかねてからの改造が昨日完成してな。
 シャフトの部分を軽量化することで、
 より軽やか仕様に変更したのだ。」

「誰もそんなこと聞いてません。
 それより、式典の話なんですが。
 実はレナード将軍に頼まれて……。」

コペルニクス 「ちゃきーん。」

「わっ、なんですか突然。」

コペルニクス 「それは、俺様の華麗なる高枝切りバサミが役に立つ話か?」

「立ちません。
 この国旗を師団長の方から手渡すのが慣習とのことなので、
 王立劇団のウィノナさんまで届けて頂けますでしょうか。」

コペルニクス 「…………。」

「睨まれても。
 とにかく渡しましたからね。
 ちゃんと届けてくださいよ?」

コペルニクス 「ちゃきーん。」

「……不安だなぁ。」


・・・

(とりあえず届けたことだし、王城に戻るとするか……。)



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