Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
城壁

夏のゆるやかな日差しが、城壁の白い輝きをより際だたせる。
日光の直接反射を防ぐために表面加工されているものの、
やはりその眩しさを完全に防ぐことは出来ないようだ。

だがその目映さは、色彩的なものだけではない。
先の大戦を守り抜いた、偉大な城壁への信頼の光なのかもしれない。



ユリア 「ねぇ、知ってる?
 うちのおじーちゃんのプロポーズの言葉。」

「ボイス元帥の、ですか?」

ユリア 「『俺のために毎日ミルククッキー作ってくれ』なんですって。
 笑っちゃうわよねー、
 一体いくつ食べれば気が済むと思ってんのかしら?ねぇ?」

「いえ、私に聞かれても……」

ユリア 「まったく、どういう状況でプロポーズしてるんだかねー。
 プロポーズっていうのはもっとこう、
 真剣に言うものじゃない?」

(前の大戦の時にアークライト師団長の
 『これ以上大陸を荒らされると帰り道がわからなくなるんだよっ!』
 という発言に大笑いしたとか言っていたのはどこの誰だったか……。)

ユリア 「え、何か言った、秘書ちゃん?」

「いいえ、なにも。」

ユリア 「……はっ。」

「どうしたんです?」

ユリア 「そういえば、私まだアークにプロポーズされてない……。」

「あ、あの、突然そんなこと言われても……。」

ユリア 「いやー、もうすぐ30になっちゃうー!
 きゃぁぁぁぁぁぁ、
 い、いやーっ!」

(……精神年齢は充分若そうなんだけどなぁ。)



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★★



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