「あ、いた!」
「ちゃきーん。
このまま本番当日まで逃げ延びれば
俺様の華麗なる高枝切りバサミwithスペシャル国旗バージョンが……。」
「そんなスペシャルは必要ありませんっ!」
「ちゃきーん!」
「うっ、だけどどうやってあれを奪還すれば……。」
「んんん。
大きな紙袋を飛ばすように
あの旗を強風で飛ばすのはどう?」
「え、どうやって強風を!?」
「んんん、もちろん魔導で。」
「!?」
「ウィ・エリス・セルティアス
突風よ我が目前の障害をなぎ払えっ!
ウィンドスラッシュ!!!」
「ちゃっきーん!
俺様の華麗なる高枝切りバサミwithスペシャル国旗バージョンは、
その程度の風では飛ばされん!」
「旗はものすごい勢いで後ろに靡いているけど
本人笑み浮かべながら耐えてるし……。」
(ていうか、その名称で決定なんだ……。)
「んんん。
そういやコペ君って結構筋力あるんだっけ。
そいつは困ったね。」
「そ、そんなぁ!」
「ちゃきーん。
秘書。諦めてこの旗は俺様に譲れ。
俺様が晴れの舞台で軽やかに舞ってやろう。」
「お願いですから、それだけはやめてくださいっ!」
「んんん。仕方ない。ひとつ上のレベルの魔導にしよう。」
「え?」
「ウィ・エレリアス・セスティニアス
強風よ我が目前の障害を吹き飛ばせっ!
ゲイルスラッシュ!!!」
「わわわっ、飛ばされるっ!」
「くっ、これごときの風など、風など……!」
「!」
「あっ! 旗が取れた!」
「んんん、秘書君、今だっ!!!」
「!!! 俺様の華麗なる高枝切りバサミの旗がっ!」
「……ふぅ、なんとか回収できた」
「くっ! 俺様の、
俺様の華麗なる高枝切りバサミwithスペシャル国旗バージョン
舞え軽やかにスタイルが……。」
(そ、そんな正式名称だったのか……。)
「んんん、
秘書君、奪還おめでとう。
ところでその旗をどうするの?」
「えーと、昼までに王立劇団に……届けて……。
あーっ!
もう正午過ぎてるっ!!!」
「んんん、正午過ぎるとだめなのかい?」
「誰でもいいから早く他の師団長捕まえて、王立劇団まで届けて貰わないと……。」
「……マルス総統。」
「んんん?」
「15リルで、
秘書の身柄確保並びにあの国旗の再奪還を。
ちゃっきーん!」
「んんん、了解。
これで明後日までのご飯には困らないね。
秘書君、覚悟はいいかい?」
「えええええっ!?
ち、ちょっと、
そ、そんなぁああああああっ!!!」
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