「……本当に絵を描くのがお好きなんですね。」
「ほいほい、なんじゃい。
うーむ、好きというよりは、
今となっては生きることの一部と化しとるかもしれん。」
「生きることの一部、ですか。」
「昔は未開の森にすぎなかったシルバニアが、
これほどまでの美しい都になろうとは、
当時は誰が予想したじゃろうか。」
「昔って、500年ぐらい前の話ですよね?」
「うむ。当然、この都を築いた者達は
最早だれも生きてはおらぬ。だからこそ、
その餞(はなむけ)にこうして絵にしておるのじゃよ。」
「…………。」
「む、理解できなかったかね?」
「あ、いえ、そういうつもりではないです。
ただ、なんとなく、
詩的な理由なんだなー、って。」
「詩的か……そういう表現も悪くないのぉ。」
(あ、また絵に没頭しちゃった。
これ以上話しかけちゃ迷惑になりそうだから、
そろそろ他の所に行こう。)
★★