Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
住宅街

素肌を撫でる風が、少しずつ冷たさを研ぎ澄ます。
それの冷たさに引きずられるかのように、大空も次第に色あせて灰色へと変化してゆく。

今年初めての落ち葉が、石畳の街路を駆けぬける。



アシスト 「ここの噛み合わせが外れることで網が飛び出て……。」

「……なにやってるんですか、アシスト師団長。」

アシスト 「何って見れば分かるだろう。」

「分からないから聞いてるんです。」

アシスト 「罠だよ、罠。トラップを作っているんだ。」

「……はい?」

アシスト 「いいか、店先にこいつを仕掛けておいて、
 ユリアが一番乗りだと勘違いして入店しようとしたところで、
 一撃で仕留める。我ながら良い作戦だ。」

「他人の店先に物騒なモノ仕掛けないで下さいよ。
 それに普通のお客さんだっているかもしれないじゃないですか。
 他の人に当たったらどうするつもりなんですか?」

アシスト 「…………。」

「アシスト師団長?」

アシスト 「そうか、その可能性があったか。」

「そうですよ、
 仮にも一国の師団長なんですから、
 もっと市民の安全を守っているんだという自覚を……。」

アシスト 「ということはもっと確実な罠に仕様を変える必要がありそうだな。」

「いえ、あの、そういう話ではなく。」

アシスト 「そうと決まれば早速追加の資材調達だ!ありがとよ、秘書!」


たったったっ

「あれ、ひょっとして火に油を注いじゃった……?」



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