Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
中央公園

大陸の短い夏はあっという間に終わり、太陽は再び低い軌道を周りはじめる。
やがて陽光は街路樹をかすめるようになり、夜の長い冬が訪れる。

まるで木々がそのざわめきで、次なる冬の到来を出迎えているかのようだ。



「……本当に絵を描くのがお好きなんですね。」

エディソン 「ほいほい、なんじゃい。
 うーむ、好きというよりは、
 今となっては生きることの一部と化しとるかもしれん。」

「生きることの一部、ですか。」

エディソン 「昔は未開の森にすぎなかったシルバニアが、
 これほどまでの美しい都になろうとは、
 当時は誰が予想したじゃろうか。」

「昔って、500年ぐらい前の話ですよね?」

エディソン 「うむ。当然、この都を築いた者達は
 最早だれも生きてはおらぬ。だからこそ、
 その餞(はなむけ)にこうして絵にしておるのじゃよ。」

「…………。」

エディソン 「む、理解できなかったかね?」

「あ、いえ、そういうつもりではないです。
 ただ、なんとなく、
 詩的な理由なんだなー、って。」

エディソン 「詩的か……そういう表現も悪くないのぉ。」


かきかきかき

(あ、また絵に没頭しちゃった。
 これ以上話しかけちゃ迷惑になりそうだから、
 そろそろ他の所に行こう。)



▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★



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