Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
住宅街

素肌を撫でる風が、少しずつ冷たさを研ぎ澄ます。
それの冷たさに引きずられるかのように、大空も次第に色あせて灰色へと変化してゆく。

今年初めての落ち葉が、石畳の街路を駆けぬける。



「……今度は仰向けになってお絵かきですか?」

アーク 「うん。寝っ転がると気持ちいいよ。」

「だからって何も、地面に寝っ転がらなくても。」

アーク 「でもこうしていると、
 建物の向こう側もなんとなく見える気がするんだ。
 なんとかそれを描こうと思っているんだけど……。」

「建物の向こうって……壁しか見えませんよ?」

アーク 「うーん、そうかなぁ。
 なんかこう、水を垂らした時の波紋のような
 迷路模様が僕には見えるんだけどなぁ。」

「波紋?……見えないですよ。」

アーク 「ほら、あの辺りに……。」


ふっ

「……あれ?アークライト師団長?」


…………。

「唐突に消えちゃった……何処行ったんだろう?」



▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く



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