「シルバニアの城壁にある3つの門って……。」
「一番大きいのがフェルディナント門、
残り二つがジェイド門とネフライト門。
全部人名が由来なの。」
「フェルディナント門の由来は建設の総指揮者、
ジェイド門とネフライト門は
城壁を設計した魔導技師達の名前からよ。」
「ジェイドさんとネフライトさんの、二人とも?」
「ええ。双子という話よ。
なんでも天才的な頭脳を持っていたとかで、
現場での製作までやってのけたらしいわ。」
「設計から製作まで一手に、ですか……。」
「でも彼らには、いくつか素性不明なところがあったの。
遷都計画が始まると同時にいずこからかふらりと現れて、
完成するとまたどこかへふらりと旅立ったみたい。」
「……城門に名を冠した3名とも、
結局はこの都市に暮らす事がなかったなんて、
なんだか皮肉な話ですね。」
「そうね。
でも、彼らにはこの都市の建設以上に、
やりたい事があったのかも。」
「なるほど。そうかもしれませんね。」
(どんな思いでこの都市を造っていたんだろう……。)
★★