Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
城壁

収穫の秋。街道が最も賑わい、馬車の往来が最も多い季節。
ここシルバニアも例外ではなく、国内外からの収穫物が次々と運ばれてくる。

ある荷馬車は北から南へ、またある荷馬車は南から北へ。
そしてまたある荷馬車は、この都市を終着駅として。



「シルバニアの城壁にある3つの門って……。」

エリーゼ 「一番大きいのがフェルディナント門、
 残り二つがジェイド門とネフライト門。
 全部人名が由来なの。」

エリーゼ 「フェルディナント門の由来は建設の総指揮者、
 ジェイド門とネフライト門は
 城壁を設計した魔導技師達の名前からよ。」

「ジェイドさんとネフライトさんの、二人とも?」

エリーゼ 「ええ。双子という話よ。
 なんでも天才的な頭脳を持っていたとかで、
 現場での製作までやってのけたらしいわ。」

「設計から製作まで一手に、ですか……。」

エリーゼ 「でも彼らには、いくつか素性不明なところがあったの。
 遷都計画が始まると同時にいずこからかふらりと現れて、
 完成するとまたどこかへふらりと旅立ったみたい。」

「……城門に名を冠した3名とも、
 結局はこの都市に暮らす事がなかったなんて、
 なんだか皮肉な話ですね。」

エリーゼ 「そうね。
 でも、彼らにはこの都市の建設以上に、
 やりたい事があったのかも。」

「なるほど。そうかもしれませんね。」

(どんな思いでこの都市を造っていたんだろう……。)



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★



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