「そういえば、グリフィス師団長は立候補しませんでしたね。
どうしたんですか?
いつもなら真っ先に両手を上げそうなのに……。」
「……ん、ちょっと思うところがあってな。」
「……?
どうしたんですか、暗い顔して。
いつものグリフィス師団長らしくないですよ?」
「そ、そうか?」
「私がこんなことを言える立場ではないんですけど、
グリフィス師団長はグリフィス師団長らしく生きた方が、
輝いてると思います。」
「……俺らしく、か。」
「はい。」
「…………。」
(……なんか余計な事いっちゃったかなぁ。)
「ありがとよ、秘書。決心ついたぜ。」
(あ、しまった! また余計な事を言っちゃった。
これ以上、自称立候補者増やしてどうするんだろう私。
きっとややこしい方向に話が……。)
「よし、ちょっとディラックん所行ってくる。」
「え……あれ?」
「いや、俺の個人的な話さ。
ちょっと昔なじみに預けてた物があってな。
話つけにいってくるわ。」
「あ、はい、行ってらっしゃいませ。」
(……どことなく悲しそうで、
それでいてすごく満ち足りた顔をしていた。
何か、あったのかな……?)
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