王都シルバニア
住宅街
素肌を撫でる風が、少しずつ冷たさを研ぎ澄ます。
それの冷たさに引きずられるかのように、大空も次第に色あせて灰色へと変化してゆく。
パン屋ソフトブレッドの玄関前には、からくり仕掛けの罠らしきものが二体、放置されたままになっている。
「本当にどうするんだろう、
この絡み合った罠と罠。
解除するには近づかないといけないし……。」
「でも近づいたら絶対罠にかかるよなぁ、これ。」
ちゃきーん。
「え?」
ちゃきーん。
「…………この音は。」
ちゃきーん。
「……あ、あのー、ジェラード副師団長?」
「……入り口に罠か。」
ちゃきーん。
ひょいっ。
「え、高枝切りバサミで遠距離から罠を……!?」
「動くなら、退かせばいいだけの話だ。」
てくてくてく
からんからんっ
「……そうか、そんな基本的な手があったんだ。」
▽ …………。
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