Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
住宅街
パン屋ソフトブレッド




からんからんっ

アリス 「いらっしゃいませ。……あ。」

コペルニクス 「……少し、邪魔する。」

アリス 「あ、はい。どうぞ。」

レナード 「む?
 どうした、コペルニクス。
 それに秘書も。」

「あの、城壁守備隊の顧問の件で、
 結局ユリア師団長とアシスト師団長を差し置いて
 コペルニクス副師団長が先着に……。」

レナード 「? 何の話だ?」

「え?」

コペルニクス 「ちゃきーん。どういうことだ。」

「え、いえ、あの、確か午前中に
 『城壁守備隊の顧問役だけでも、誰か他の師団長に委任したい』
 って仰っていましたよね?」

レナード 「ああ、その話か。
 確かに猫の手も借りたいとは言ったが、
 別に本気で委任を考えていたわけではない。」

「え。」

レナード 「仮にも将軍である以上、その程度は軽くこなせないでどうする。」

「……じゃあ、今日の騒動は一体。」

レナード 「だが、確かに一部業務を委任して、
 空いた時間を他に回すのも手ではあるかもしれんな。
 よし、コペルニクス。」

コペルニクス 「ちゃきーん。」

レナード 「城壁守備隊の顧問代理を委任する。」

「ぇええええ!?」

コペルニクス 「ちゃきーん!ありがたき幸せ。」

「レナード将軍、本気ですか!?」


からんからんっ

ユリア 「あーっ!やっぱり!
 なんで罠が解除されてるのよっ!
 近距離接近無差別反応にしておいたのにっ!」

アシスト 「ん?
 コペルニクスが先にいるということは、
 もしかして……?」

レナード 「……私の発言の何を勘違いしていたのかは知らないが。
 結果的には城壁守備隊の顧問代理を
 コペルニクスに頼む事になった。」

アシスト 「ちっ、罠が絡みさえしなければ……っ!」

ユリア 「残念しょんぼりー。」

「まぁ、ひとまず解決ですね。」

レナード 「よし、これで私は空いた時間にアリスさんと……。」

アリス (え、私と!?
 もしかしてあんなことこんなこと……だ、だめよっ!
 まだ昼間よ、みんな見てるわっ!)

「将軍、ちゃんと仕事してくださいっ!」

レナード 「仕事で思いだしたぞ。
 そういえば頼んでおいた書類整理は済んだのか、
 秘書?」

「え?」

レナード 「『とりあえず残りの書類は適当に片づけておいてくれ』と
 午前中言っておいたはずだが?
 出来たのかね?」

「ああああああっ!」
(……師団長追いかけるのに夢中で、
 すっかり忘れてた。)

レナード 「それと、追加の仕事だ。
 コペルニクスを城壁守備隊顧問代理にするための
 申請書類も用意しておいてくれ。」

「え、やっぱりその話、本意なんですかっ?」

レナード 「無論だ。夕方までに頼んだぞ。」

「そ、そんなぁあああああっ!」




おしまい。



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