Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
王城3階 将軍執務室



レナード 「……戦略研究用の予算配分表がこっちで、
 王立軍の武装臨時補充用の緊急予算がこっちか。
 それで城壁守備隊の稟議書が――ああ、ややこしい。」

「なんだか大変そうですね。」

レナード 「将軍職というのは王立軍以外に、城壁守備隊の顧問も直轄している。
 だからどうしても通常の二倍の仕事量をこなさねばならなくなる。
 午後からはアリスさんのところに行く予定だというのに。」

「……ひょっとしてそれが最優先事項なんですか?」

レナード 「もちろんだ。何か問題が?」

「……ご自分の職業をきちんとご理解されてます?」

レナード 「はて、なんだったかな。」

「レナード将軍っ!」

レナード 「分かっている。冗談だ。
 そんなアークライトではあるまいし、
 本分ぐらいは理解しているつもりだ。」

レナード 「時間に合わせて行動しようとすればするほど
 スケジュールというのは過密になっていくものだ。
 まったく秘書の手でも借りたいぐらいだ。」

「秘書の手って、私ちゃんと仕事手伝ってるじゃないですか……。」

レナード 「それでも手が足りていないのは見て分かるだろう。」

「まぁ、それはそうですけど。」

レナード 「いっそ猫の手でも借りたい。」

「中央公園に可愛いのが一匹いましたけど、連れてきますか?」

レナード 「……ああ、それもいいな。」

「え、本気です?」

レナード 「まったく、城壁守備隊の顧問役だけでも
 誰か他の師団長に委任したいものだ。
 そうすれは少しでも手が空くというのに。」

「は、はぁ……。」

レナード 「とりあえず残りの書類は適当に片づけておいてくれ。
 午後3時にはパン屋ソフトブレッドに戻る。
 それまでに頼んだぞ。」

「え、ちょっと、レナード将軍どこに行かれるんですかっ!?」



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