「なぁ、秘書。
城壁守備隊の顧問って、
一体どんなことすればいいんだ?」
「えっと、普段の業務は稟議書の閲覧と場合によってはその指導、
あとは定期的な訓練の視察と、
新規配属兵員の立ち会い……。」
「基本的にはどれも、その場に居るだけで済む業務内容ってこと?」
「まぁそうとも言いますね。」
「それで単純に1.5倍の給料か。となると実験費用が使い放題……。」
「ロウクス君、何か言った?」
「ああ、いやいや、なんでも。
まぁとにかくここは一つ、
知将たる魔導師の俺が新顧問で決定だな。」
「あら、何言ってるの。魔導師はここにもいるわよー☆」
「いいかユリア、人間には謙虚さが必要だぞ。な?」
「そういうウィルバーちゃんこそー。うふふ☆」
「あ、あのー、静かに火花散らさないでもらえます?」
「ところでよ、
肝心のレナードの姿が見えねぇんだけど、
あいつはどこにいったんだ?」
「午後3時にパン屋ソフトブレッドに戻る、
とだけ言い残して
どこかへ行ってしまわれましたが……。」
「パン屋。」
「ソフトブレッド。」
「午後3時。」
「!」
「!!」
「……ちょっと出掛けてくる。」
「あっ、ウィルバーちゃんずるいっ、あたしが考えたのよっ!」
「イ・ライナ・メリア
我が足よ、大地を風の如く駆けよっ!
ダッシュッ!」
「ちょっと、ずるーいっ!」
「……あの、私はどうすれば。」
「仲裁。」
「え?」
「……ちゃきーん。」
「あ、あの、やっぱり私が間に入らなきゃだめなんですかね?」
「さぁ、それが僕にもさっぱり。」
「ちゃきーん。」
「……ううっ、なんでこんな仕事ばかりなんだろう。」
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