「秘書さん、そっちはどう?」
「あっちでグリフィス師団長が壁に……あ、いえ、
今のところ何も手がかりはありません。
でも、どうしてリングってあんなに小さいんですかね。」
「昔はリングって、指に直接はめるものだったらしいわよ。
だから、とても大切な結婚の証なのに、
あえて小さな環の形をしているんですって。」
「え? 指に直接、ですか?」
「私も聞いた話でしかないんだけれど、
金属が地肌を覆っていると魔導詠唱が安定しないから、
リングを首からぶら下げるようになったらしいわよ。」
「へぇ……そんな理由があったんですか。」
「ロウクス君が言ってたことの受け売りだけどね。」
「エリーゼ師団長、最近ちょっとアシスト師団長に
似てきましたよね。
説明の仕方というか、なんというか……」
「べ、べつにそんなことないわよ?
偶然よ、偶然!
そんなにいつも彼の話に耳を傾けているわけじゃ……」
「エリーゼ師団長?顔が赤いですけど、どうしたんです?」
「な、ななんでもないわ!
あっ、ちょっと私あっちの方探してくるわね!
秘書さん、またあとでねっ」
「……?あれ、何か変な事いったかな?」