「どうだ、秘書。そっちは見つかったか?」
「いえ、全然……ということは、アシスト師団長も?」
「ああ。さっぱりだ。それが僕にもさっぱり」
「……あんまりどころか全然アークライト師団長に似てないです」
「そうか。俺の実験台になりたいか。いやー、助かるなー」
「そんなこと言ってませんっ!
それよりこういう時ってどうすればいいんですかね。
何か手がかりでもあればいいんですが……」
「手がかりか……うーむ」
「ネックレスの目撃情報でもあれば話は早いんですが」
「そういや拾得物は市民軍の詰め所に届ける法律になっていたな。
ああ、ちょうどいい。
秘書、ちょっと届け物が出てないか聞いてきてくれ」
「市民軍の詰め所って、あのー、もしかすると」
「そうだ、城壁だ」
「……なんだか嫌な予感しかしないんですが」
「ん?そうか?俺は特に何も感じていないぞ?」
「いえ、その、えっと。
そもそも、どうしてそんな法律になっているんですかね。
王立軍が拾得物担当でもいいじゃないですか。」
「誰かがそういう法律を作ったからだろう。
それに王立軍には該当部署がないのも事実だしな。
平常時の治安は市民軍が担当して然るべきだ」
「うーん……」
「万が一、落とし物と称して危険物が届けられると厄介だからな。
そのために拾得物は王城から最も遠い外周部、
城壁守護隊に届けられる事になっている」
「なんとなく理解できたような、できないような」
「よし、頼んだぞ。俺はもう一度王城までの道のりを戻ってみる」
「あ、あのー、
できれば私がそっちの捜索を……あーあ、行っちゃった。
しくしくしく」