Forbidden Palace Library #12 夢みよ乙女達


王都シルバニア
繁華街




アークライト 「うーん、ここにはないなぁ」

「アークライト師団長、何やってるんですか」

アークライト 「うん、捜し物」

「たぶんそのゴミ箱は、
 今日の早朝に回収されたばかりだから
 まだ空っぽだと思いますよ」

アークライト 「うん、
 そうみたいだねぇ。
 マルスくんもいないみたいだし」

「いえ、あの人の場合は、
 そもそもゴミ箱の中にいる事自体が
 おかしいんですが」

アークライト 「あ、そっか。でもマルスくんもう旅立ったんだっけ」

「え?旅立った?」

アークライト 「うん。自分の戦いに戻るって言ってた」

「自分の、戦い?」

アークライト 「マルス=アインシュタインを名乗る者にしかできない
 見えない戦いがあるんだって。
 そうだ、思い出した。秘書君、彼から伝言を預かっているよ」

「伝言?」

アークライト 「『ありがとう。キミのお陰で、
  もう一度立ち上がる勇気を取り戻すことができた。
  願わくば、キミに幸あらんことを』だって」

「えっ……私、マルス前師団長に何かしたっけ……?」

アークライト 「本人は気付いてなくても、
 さりげない言葉が人を元気づけてる事だってあるんだよ。
 秘書君は、なんだかんだ言っても根が優しいから」

アークライト 「ジュリアさんの指輪の件も、
 力になってくれてありがとう。
 まだ見つかってはいないけど、僕からも感謝を」

「……あっ、いえ……別にたいしたことは……」

アークライト 「その無自覚な謙虚さが、みんなから頼られる要因なのかもしれないね」

(……便利に使われているだけのような気もするけど)



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