「ちゃきーん」
「ああ、こういう時に見つけやすいと楽なんだなぁ」
「む?何だ?」
「いえ、こっちの話です。
それより、その高枝切りバサミ、
ちょっと貸していただけませんか?」
「断る」
「えっ」
「魂をそう易々と差し出せるわけがなかろう」
「いつから魂に」
「では説明してやろう。高枝切りバサミというものは、そもそも……」
「長話は後で聞きますから!
とにかく、いまはあの猫を、
高い木の上から降ろしてあげないといけないんです!」
「む、噂の猫の一大事か。
それは俺様の華麗なる高枝切りバサミの出番という事か。
ついに、この時が来たのだ」
「…………もの凄く不本意なんですけど、まさにその通りです」
「どうした、不機嫌な顔をして」
「いえ、別に。
それより早く、こっちに来てください!
ネックレスもそうだけど、猫さんも何とかしてあげないと!」
「ちゃきーん」
「ハサミで返事するのやめてください」
「ばっさばっさ」
「虫取り網仕様で返事するのもダメです」