「うむ。あの猫か」
「そうです。
針葉樹の高いところまで登ってしまって、
たぶん下りるに下りれなく……」
「何故あんなに高いところにいるのだ」
「……どこかの誰かさんが、
高枝切りバサミなんか振り回しながら
公園の中を歩いていたからじゃないんですか?」
「あれは匍匐前進というのだ」
「ああ、そうですか、ほふく……って、えっ!?」
「隠密行動のはずだったのだが、おかしい」
「魔導金属の鎧を装備したまま
高枝切りバサミを掲げて
匍匐前進したって意味ないでしょうに」
「あっ、そうだ、こんな事話してる場合じゃないんだ。
あの猫を、どうにか無事に、
掬い上げる事ってできそうですか?」
「無論」
「うわっ」
「まだだ、まだ伸びるっ!」
「……どれだけ長いんですか、それ」
「どうだ、凄いだろう。
俺様の華麗なる高枝切りバサミ。
これぞ世界に唯一にして、」
「いいから早くあの猫を!」
「──ゆくぞ!ツァアアアッ!!!」