Forbidden Palace Library #12 夢みよ乙女達


王都シルバニア
市役所前広場




アークライト 「僕、ケイン=アークライトは、
 ユリア=ハーシェルを妻とすることを、
 ここに誓います」

ユリア 「私、ユリア=ハーシェルは、
 ケイン=アークライトを夫とすることを、
 ここに誓います」

「立会人の皆様、よろしいか。
 異議無くば、ここに二人の結婚は成約し、
 その命が果てるまで永遠に続くものとする!」


ごーん ごーん ごーん

アークライト 「……ジュリアさん、いえ、ユリアさん」

ユリア 「アーク……ううん、ケイン。
 愛してるわ。
 これからも、よろしくね」


ちゅっ



・・・

エリーゼ 「……いいわね、結婚って」

アシスト 「ああ。全く同感だな」

エリーゼ 「……あら、珍しいこと言うのね」

アシスト 「ん?何がだ?」

エリーゼ 「いえ、素直に認めてたから、少し驚いただけよ」

アシスト 「なぁ、エリーゼ」

エリーゼ 「なぁに、ロウクス君?」

アシスト 「ちょっと目を瞑っててくれないか?
 そう。
 そのまま左手を出して」

エリーゼ 「え?……こ、こう?」

アシスト 「…………」


すっ

エリーゼ 「えっ!?」

アシスト 「…………」

エリーゼ 「あ、あの、このリング……」

アシスト 「おまえの人生、今度こそ、必ず幸せで満たしてみせる」

エリーゼ 「!」

アシスト 「もう実験台だとか変な口実は使わない。
 今にして思えば、俺はずっと面影を追い続けていたんだと思う。
 それはこの世界で俺だけが知ってて、もう俺しか知らない事だったから」

アシスト 「だけど、気づいたんだ。
 例え俺が記憶喪失でも、今までの知識や経験を全て失っていたとしても、
 おまえに惚れていたんだろうなって」

エリーゼ 「ロウクス君……」

アシスト 「エリーゼ」

エリーゼ 「……本当に、私でいいの?」

アシスト 「ああ。お前じゃなきゃダメなんだ」

エリーゼ 「本当に?」

アシスト 「ああ」

エリーゼ 「……本当の、本当に?」

アシスト 「ああ」

エリーゼ 「私ね……小さい頃からずっと毎晩、悪夢を見ていたの」

アシスト 「悪夢?」

エリーゼ 「声も憶えていない。顔も分からない。だけど愛していた人が、
 目の前で風に流される灰のように消え去ってしまう夢。
 意味も分からず、ずっと毎晩泣いていたの」

アシスト 「…………」

エリーゼ 「その知らない誰かを守りたくて、
 二度と失いたくなくて、
 私、ひたすら強くなったの」

アシスト 「……エリーゼ……」

エリーゼ 「だから、ロウクス君。
 これからは、私に貴方を守らせて。
 もう二度と、悪夢を見ないためにも」

アシスト 「……ありがとう、エリーゼ。愛してる」

エリーゼ 「私もよ、ロウクス君」


ちゅっ

アシスト 「……もう二度と、
 お前に悪夢を見せたりなんかしない。
 ずっと離さない。大丈夫だ」

エリーゼ 「ええ、分かってるわ。
 これは悪夢なんかじゃない。
 だって、こんなにキスが甘いんですもの」


ちゅっ




つ・づ・く。



▽ ……そして、翌朝。


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