Forbidden Palace Library #12 夢みよ乙女達


王都シルバニア
王城前




秘書 「え、王城に立ち入り禁止……って、どういうことですか!?」

ユカワ 「先刻、王立軍の名の下に戒厳が発令され、
 全ての城門は封鎖されている。
 帰れ帰れ。」

秘書 「ちょ、ちょっとまってください。
 あの、戒厳令って、いったい誰が発令を?
 何が起こっているんです?」

ユカワ 「…………。」

秘書 「あの、私も王立軍に所属していて、
 えっと軍人ではなく軍属ですが、
 事務官のダリア――」

ユカワ 「……知っている。」
 だから忠告しているのだ。
 余計な事に首を突っ込まないほうがいい。」

??? 「――おや、
 こんな時間に門が閉じたままとは珍しいですね。
 なにかトラブルでもありました?」

秘書 「えっと、それが──」

ユカワ 「繰り返す。
 いまは『誰で』あろうとも、
 ここを通すわけにはいかない。」

??? 「……それは貴方の上官からの命令、ということですか?」

ユカワ 「そういうことだ。
 ……いま、この先へ踏み込めば命の危険があります。
 どうか、すぐにここから立ち去ってください。」

秘書 「!? それはどういう……」

??? 「なるほど。軍人にとって命令は絶対ですからね。
 ……たしか、貴方は王立軍の秘書さんでしたね。
 ここは一度退きませんか?」

秘書 「えっ?」

??? 「少々ご相談したいことがあるのです。
 貴方も私も立場は違えど、上と連絡を取りたいはずです。
 そういった意味では利害が一致すると思うのです。」

秘書 「確かにそうですね、このままでは仕事になりませんし……。」

??? 「では、そこの紅茶屋さんで作戦会議といきましょう。」

秘書 「わかりました。そういうことでしたら──」



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