エンディング
ケイン=アークライト
次代の将軍職に就き、十年ほど王立軍を率いるが、「なんとなく飽きた」の一言で辞任。
軍人恩給でのんびりと暮らす――はずだったのだが、
趣味が高じた編み物が『アークライト編み』と呼ばれ、大人気になり流行した。
ユリア=ハーシェル
「アークが辞めるなら一緒に辞める」の一言で辞任。
夫の編み物が飛ぶように売れるため、店主として仕入れと販売を支える。
あいかわらず夜は明るくないと眠れないらしい。でも子供はできた。
ウィルバー=ロウクス=アシスト
先の大戦の記録を分析し、魔導兵の育成が長期的な課題であると判断。
高等学院の魔導教官に転身し、後進の指導に当たる傍ら、
独自に研究を続け『アシストノート』と呼ばれるいくつかの実験記録を残す。
エリーゼ=ラントシュタイナー
若手の中から優秀な士官が育ってきたことを見届けて退官。
その後は高等学院で戦術教官となり、夫婦で王立軍を陰から支え続けた。
魔導詠唱を中断させるための脚部格闘術は生涯健在だったという。
レナード=セルシウス
シルバニア事変の責を取り辞任。
というのは表向きの理由で、実際には単に妻と一緒に居たかっただけとも言われている。
パン屋『ソフトブレッド』の裏方として、今日も朝早くから妻と共に働く。
アリス=ノーベル
ふわふわパンが大流行。店舗拡大や支店進出の誘致もあったが、
いまの生活を維持できればいいとして特に興味を示さず。
愛する夫との間に生まれた三人娘にはイリス、エリス、セリスと名付けた。
ジェラード=コペルニクス
最終的には将軍位まで登り詰め、精鋭による高枝切りバサミ部隊を創設。
武器を持ち替えずに近距離から中距離まで格闘戦が可能なその技は
軍事史における転換点として後世まで伝えられた。
ボイス=ハーシェル
シルバニア事変からわずか一年後、体調を崩し肺炎により死去。
二週間後に生まれてくるひ孫の顔を見ることは叶わなかった。
グラン=ハミルトン
任期終了前に退官しカイザリアに帰国。
前の大戦で廃墟となった旧帝都に移り住み、ひっそりと暮らす。
老いがその身体を蝕むまで、ネルクスの塔の近くで何かを探し続けていたという。
グリフィス=ベル
前話で師団長を辞任し、叔父エリックを捜す旅に出る。
南方でいくつかの冒険譚を残すが、ある頃を境にして歴史から消える。
バレンタイン港が見える丘に墓碑があるとも伝えられるが、真偽は不明。
マルス=アインシュタイン
前師団長。本名、エリック=ハミルトン。
ヴァンドレディ公国にしばらく留まり、南方へと向かったところで足跡は途絶える。
その後の行方は、杳として知れない。
デニス=ノーベル
20年後、侍従長となり国王と王妃を補佐する。
今日も玉座を抜け出した王妃を探して城内を駆け回る。
だが、婿入りしたラグランジュ家に帰れば、子煩悩な一児のパパである。
サフラン=ラグランジュ
姉の退職に伴い、新たに秘書となるが、やはり結婚を機に退職。
魔導に関しては天賦の才を有しているが、特に才能を発揮することもなく、
そのまま一市民として過ごす。ちょっぴり教育ママ。
レミィティアーナ=キャロリーネ=エル=シェルザワード
ユリウス=ハーシェル
この二人に関する公的な追跡記録は残されていない。
グレイフュル=エセルベルト=フォン・ブラウン
(グレイフュラウン=エセルバート=エル=シェルザワード)
レミィティアーナ前女王にして王位請求者。次代のシルバニア国王として統治する。
遺伝的な要素によりに理力の扱いに優れるも、反動として眠気に襲われるという
難儀な体質に悩まされ続けるが、妻との二人三脚でこれを乗り越えた。
ダリア=ラグランジュ
シルバニア王立軍将軍付秘書官。後に王妃となる。
姉妹揃って魔導の才能に溢れていたが、やはり特に開花すること無く生涯を終える。
その傍らには、常に一匹の猫がいたという。
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