Forbidden Palace Library #12 夢みよ乙女達


王都シルバニア
紅茶屋レプトン店内




アリス 「……あの、そちらのかたは?」

バート 「ああ、僕は――バート。紋章院に所属しています。
 このダリアさんと同じく王城から追い払われた立場です。
 少なくとも、敵ではないと思いますよ。」

ダリア 「はい。この人は大丈夫だと思います、たぶん。」

アリス 「……わかりました。その言葉を信じます。
 先刻──レナードさんが家を出てすぐに、
 王立軍に身柄を拘束されました……。」

ダリア 「えっ、王立軍に!?」

バート 「それで、どちらの方角へ?」

アリス 「おそらく城壁に向かったのだと思います。
 私も急いで玄関へと向かったのですが――
 このような走り書きのメモが。」

ダリア 「えっと……
 『今はダメだ。秘書と合流しろ』
 これは間違いなく、レナード将軍の筆跡ですね。」

バート 「ふむ。彼は『敵』に心当たりがあるようですね。
 大勢には敵わないと判断したか、
 あるいは大切な人を守るためにわざと捕まったか……」

アリス 「私、もうこれ以上、
 家族を、愛する者を、失いたくないんです!!!
 先の大戦の、ブランドブレイでの悲しみを、二度と──!」

ダリア 「アリスさん、落ち着いて!」

バート 「大丈夫ですよ。
 レナードさんの聡明さは信頼に値します。
 実際、こうして合流できたわけですから。」

アリス 「……そうですね。取り乱して失礼いたしました。」

ダリア 「あっ、そういえば弟さんは?」

アリス 「デニス、でておいで。」


ひょこっ

デニス 「なんだかよく分からないうちに
 連れてこられちゃったけど、
 ぼ、ぼくも力になれるかな……」

バート 「ええ、とても頼もしい援軍です。
 とはいえ、同じ場所に長居し続けるのも危ないかもしれませんね。
 レナードさんの居場所が分かったところで、偵察と行きましょうか。」



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