Forbidden Palace Library #12 夢みよ乙女達


王都シルバニア
ゴミ箱の下の隠れ家




バート 「これは……なんとも生活感に溢れた隠れ家ですね。」

デニス 「すごーい!これがひみつけっしゃっていうところ?」

ダリア 「ねえ、なんでそんな昔から伏線張っておいたの?」

コペルニクス 「ん、どうした貴様?何か不満か?」

ダリア 「いえ、なんでもないです。少し頭痛が……。」

コペルニクス 「地下空間ではあるが、
 酸欠にならない程度の空調は整備されている。
 これほどの大人数が入ったことはないが。」

ダリア 「そういう類の頭痛ではなくてですね……。」

バート 「それで、この壁一面に貼られた市街図について
 説明をお願いできますか?
 まずは、青色で描かれたこの線について。」

バート 「おそらく地下通路を示しているものと思いますが、
 ここまで精確な位置情報を、どこで入手したのです?
 明らかに国家機密に該当するはずです。」

コペルニクス 「マルス総統自ら、地表から僅かな空洞音を探り、
 孤立した空間と回廊をひとつずつ調べて回ったのだ。
 そこから浮かび上がったのが、この地下通路のラインだ。」

バート 「……さては在職中に職権乱用していましたね。」

グラン 「否。其を目的として師団長職に就いた、と表現するのが正しいかと。」

バート 「グランさん、貴方まで知っていたかのような口ぶりですね。」

グラン 「……エリック=ハミルトンなる者を追い続け、
 ここまで辿り着いたるは最近のこと。
 一足違いで伝えることは叶わなかったでござる。」

バート 「それが、マルスさんの本名なのですね。」

グラン 「左様、左様。
 遙か北方の不毛の大地で大陸の真実を知り、
 異名にて生きざるを得なくなった、我が伯父貴。」

バート 「……なるほど。彼と血縁関係でしたか。
 しかしそこまで自白したということは、
 手伝っていただけると考えてよろしいですね?」

グラン 「御意。
 このグラン=ハミルトン、
 義によって助太刀致す。」

コペルニクス 「それで、この地図だ。
 確かに城壁のすぐ側まで伸びてはいるが、
 やはり魔導金属の壁を隔てて向こう側にある。」

デニス 「魔導金属って壊せないのー?」

アリス 「魔導金属は時間をかけて、
 じわじわと固めたり溶かしたりするものなのよ、
 デニス。」

バート 「一瞬で破壊しようとすれば、
 ウィルバーさんのように禁呪に通じた者の
 力が必要になりそうですね。」

ダリア 「でも、住宅街の付近は、確か歩哨が……」

バート 「……そうですね。
 地下通路を経由して、ひとまず
 ウィルバーさんの家に行ってみようと思います。」

コペルニクス 「承知した。」

ダリア 「気をつけていってきてくださいね。」

バート 「ダリアさん。」

ダリア 「え、はい?」

バート 「貴方には、一緒に付いてきていただきたいのですが?」

ダリア 「えっ、私ですか?!」

バート 「それともジェラードさんと一緒にここに残りますか?」

ダリア 「あっいえ、それは遠慮しておきます。絶対に」



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