「次のエリアをいったん左に曲がって、そのまままっすぐですね。」
「……どうして都市の下に、こんなに空間と通路があるんですかね?」
「確かに、
普通はそう考えるかもしれません。
しかし真実は逆かもしれませんよ。」
「逆?どういうことです?」
「もしもこの機構の上に、
あとか何らかの意図を以て、
都市が築かれたとしたら?」
「えっ……」
「そうですね。
例えば、そこにうっすらと古代文字が残っていますが、
お分かりになりますか?」
「マルス――よん――てら・ふぉーみんぐ・ゆにっと?」
「この場合の『マルス』は、『火星』の意味ですね。」
「マルス元師団長の名前と、何か関係が?」
「おそらく、彼もまたどこかで気付いたのでしょう。
特にカイザリアであれば、かつてネルクスの塔が建てられた国。
あちらでの地下遺構と繋がったとしても不思議ではありません。」
「カイザリア?
つまり似たようなものが、
他の国にもあるんですか……?」
「ブランドブレイ王国、カイザリア帝国、エルメキア礼法国。
他の三大国のいずれも、
墜ちた火星開拓船の上に築かれたのです。」
「火星……開拓船……?」
「例えば我が国では、
シェルザワード王家の役割は
民を統べることだけではありません――」
「それって、どういう……?」
「……バートさん?」
「寝てる……?」
「ちょっと、こんな時になんで突然寝ちゃうんです!?」