「あ、おかえりー。」
「無事に合流できたようですね。」
「……なあ、さっきの通路、
壁面の材質が普通の魔導金属とは違う感じだったが、
なんなんだあれ?」
「まぁまぁ、それは全て落ち着いたら。」
「あれ、グラン大使とコペルニクス師団長は?」
「うん、それがさっきゴミ箱の中に
こんなビラが落ちてきて、
いま少し外の様子を見に行ってるよー。」
「ビラ?」
「何て書いてあるんだ?」
「……戒厳令は発せられた……
王立軍レナード=セルシウス将軍は逮捕……
……王室に代わり救国評議会が臨時政府として……」
「えっ、どういうことなんです?!」
「救国評議会?なんだそれ?」
「エンディルとの戦争は終わったから、
軍縮すべきだっていう声があるのは知ってる?
世間では共和派なんて言われているけれど……」
「ああ、ボイスが将軍を退いて宰相になったのも、
裏ではその辺りの事情が関係してる、
っていう話は聞いたな。」
「その救国委員会と、
共和派が同一の存在であるかどうかは
まだ断定できませんが……。」
「レナードさんを捕えた不届き者、ということですね!」
「アリスさん、落ち着いて落ち着いて。」
「それで、ウィルバーさん。
貴方をここに連れてきた理由でもあるのですが、
魔導金属の壁を一瞬で破壊する方法はご存じないですか?」
「一瞬……一瞬か……。
融解魔導の出力を上げることはできるが、
それでも液化させるまでにどうしても時間がかかるな……。」
「悠長なことをしていると、その間に見付かってしまうわね。」
「そんな……。」
「エルネストか、あるいは魔導金属リルの発明者本人でも存命ならば、
何か裏技的な方法があるかも知れないが……。
……俺の仇とは言え、聞き出しておくべきだったな。」
「猫の手も借りたい、というわけですか。」
「魔導金属リル……猫の手……。」
「どうした、秘書?何かアイディアでも?」
「……解決策、あるかもしれません。」