「あれ、お姉ちゃん。
おかえりー。
今日はお仕事終わるの早かったんだねー。」
「ただいま、サフラン。
……まだ仕事中なんだけどね。
ちょっと大事なモノをとりにきたの。」
「あ、そうそう。
お父さんとお母さんは上の部屋にいるから、
まだ入らないほうがいいよー。」
「いつもの?」
「いつもの。」
「……甘い感じの?それとも激しいほう?」
「はげしいほう。」
「いい歳して昼間から何やってんの、本当に。」
「それで、大事なものって?」
「そう、猫!あの子はどこ?」
「リルならここにいるよー。」
「ちょっと、借りるわね。」
「え?」
《え、なになに?
どういうこと?
毛繕いしてくれるんじゃないの?》
「お願い。貴女の力が必要なの。」
《猫の手でも借りるつもり?
肉球でマッサージぐらいしか
お手伝いできることないわよ?》
「ねぇ、リル。
魔導金属を、一瞬で破壊できる方法を知らない?
かなり分厚いんだけど、どうしても突破しないといけないの。」
《……何か事情がありそうね。いいわ連れていって。》
「ありがとう!ちょっと走るから掴まっててね!」
「お仕事いってらっしゃーい。寝るまでには帰ってきてねー。」