Forbidden Palace Library #12 夢みよ乙女達


王都シルバニア
ゴミ箱の下の隠れ家




エリーゼ 「ロウクス君、頭を抱えて大丈夫?」

アシスト 「あ、ああ……。
 頭の中にもの凄い情報量が流れて来たせいで、
 かなり目眩でくらくらしてはいるが──」

リル 《この程度でだっらしないのねー。
 私は教わったときに一瞬で理解して応用までこぎ着けたわよ。
 ま、でも若造にしては、才能はあるんじゃない?》

アシスト 「なんとなくお前の正体が分かった気がする。
 まさか魔導金属の発明者か、猫の身体に入っていたとはな。
 ……ん?教わった?誰からだ?」

リル 《……ああ、なるほど、そういうことね。
 数年前にあの男を倒したの、あなただったの。
 前言撤回。なかなかやるじゃない。》

ダリア 「……えっと、終わりましたか?」


ぴょん

リル 《伝えることは伝えたわ。
 成功するか失敗するかは知らないけど、
 私にできることはこれで全部よ》

ダリア 「ありがとう、リル。」

リル 《ところで、私にできることはもうないのだけれど、
 そろそろお家で毛繕いに戻ってもいいかしら?
 ご覧の通り、身体は猫ですもの。》

アシスト 「なぁ、そいつは魔導詠唱とかできないのか?」

リル 《無理よ。
 この肉球で魔導なんてどうやって発動させるのよ?
 二足歩行しようとするだけで身体が痛くなるのよ。》

ダリア 「……デニスくん」

デニス 「うん?」

ダリア 「うちの猫と一緒に、私の家で待機していてくれる?
 私の両親──は取り込んでて当てにならないかもだけど、
 妹が家にいるはずだから。」

アシスト 「そうだな、それがいい。
 ここから先は本格的な戦闘になる可能性が高い。
 子供を守りながら戦える余裕があるとは限らん。」

デニス 「で、でもぼく、おねーちゃんのお家がどこにあるのか……」


ぴょん

リル 《私が道案内する。
 見付からないようにこの子を誘導するぐらいなら、
 猫の身体でもできるわ。》

デニス 「……え?」

リル 《ま、男の子ならまだ可愛いのよねー。
 じゃあこのまま行くわよ。方向を指示するから、
 そのまま言われた通りに進んで。》

デニス 「ね、猫が喋った!?」

リル 《……ねぇ、またそこから説明しなきゃダメなの?以下略でいい?》



▽ …………。

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