「この分厚い壁の向こうが、城壁内の留置所か……。」
「魔導方程式の組み立てはいけそう?」
「ああ。ぶっつけ本番だが、
あの猫に言われたとおりにすればいいだけだ。
突入準備はいいか?」
「はい!!!」
「……随分と慣れた剣の構えをしているのね。」
「在りし日の父は、
ブランドブレイ王国の五月騎士団長を務めていました。
その剣技は、今もこの身に受け継いでいます。」
「よし――作戦開始だ!」
「ヴェレル・ヴェレル・エヴェレル
破れ鉄壁の支配
デストラクション!」
「すごいキレイに丸い穴が……」
「くっ……消耗が大きすぎて平行感覚が……」
「大丈夫よ、ロウクス。
あとは私達に任せて休んでて。
それに──私も昔はここの守備隊長だったのよ。」
「レナードさんは!?」
「この右にある扉の先が留置所よ。
でも今はあいにく鍵を探している時間がないわ。
……蹴破るしかないわね。」
「あとは、任せたぞ……!」
「ええ。アリスさん、いくわよ?」
「はい。いつでも!」
「蹴りぃぃぃぃぃ!!」