「……あの、ですね。」
「はい、なんでしょうダリアさん。」
「どうして今度は腕を組んでいるのでしょうか、私達。」
「カモフラージュのためにも恋人同士のふりをした方が良いと、
アリスさんの的確なアドバイスに従ったのですが。
私がお相手ではご不満でしたか?」
「あ、いえ、違うんです、そういうわけじゃなくて、
えーとですね、あの、その、こういうのは両親で見慣れているけど
自分がそうなるのは慣れていないというか……」
「あっ、あの、バートさん――?」
「えっ?」
「くっ……こんな時に……」
「バートさん?
え、ちょっと、どうしたんですか?
ひょっとしてまたですか!?」
「これは遺伝的な……体質で……」
「遺伝?」
「少し寝たら……すぐに……起き……」
「寝たら!?こんなところで!?」
「バートさん!?ちょっと、バートさん!!」
「……もう、寝息を立てている……。」
「……仕方ありませんね。
そこのベンチで、少し休みましょうか。
ちょっとだけ、ですよ?」