「あっ!目が覚めました?」
「……ダリアさん、どうして貴方の顔が横向きに?
ああ……また私が寝ていたのですね。
それにこの感触は……。」
「ハンカチだけだと血行が良くないかなー
……と思って。
あの、あんまり寝心地よくなかったらすいません。」
「いいえ。
とても心地よい夢見だったのは、
貴方の膝枕だったんですね。」
「わ、わざわざ言われると恥ずかしいんですけど……。」
「どなたか、通りかかったりは?」
「えっと、巡回の兵士が二人ほど通り過ぎましたが、
ふたりとも親指を立てて、そのまま去って行きましたよ。
なんなんですかね、あれ。」
「結果的に見逃されたようですね。
お陰で眠気もとれました。
では、行きましょうか。」
「あの、そっちは噴水の中ですよ!?
ひょっとして、まだ寝ぼけてます?
バートさん!?」
「いいえ、しっかりと起きていますので、
ご安心ください。
確か、開閉レバーは……ここでしたね。」
「!? 噴水が沈んでいく!?」
「この下に秘密の隠し階段があるのですよ。
ここから出ることは想定していても、
まさか逆に入ることになろうとは考えてもいませんでしたが。」
「……あれ、もしかして、
以前にマルス前師団長が、
この噴水に悪戯を仕掛けていたのは……」
「ああ、あの爆発音の一件ですか。
……もしかすると、ここの秘密を探っていたのかもしれませんね。
この仕掛けまでは解けなかったことを願いたいのですが。」
「バートさん、貴方は一体……。」
「さあ、先を急ぎますよ、ダリアさん。」
「あ、はい。」