「……行っちゃいましたね。」
「カーテンの向こうがどこに繋がっていたのか、
純粋に興味はありますが、
知らない方がよいのでしょう。」
「これで全て、終わったんですかね。」
「そうですね……いえ、まだ一番大切な事が残っていました。」
「え、なんですか?」
「ダリアさん、私と付き合っていただきたいのですが。」
「あっ、はい。今度はどちらへ行かれるおつもりです?」
「……いえ、そういう意味ではなくてですね。」
「???」
「わかりました。
一番分かりやすい言葉でお伝えしましょう。
……少しだけ、勇気をいただけますか。」
「あれだけ勇気がある人が、何を言ってるんですか……。」
「それとこれとは別です。
……よし。覚悟はできました。
ダリアさん。」
「はい?」
「貴方のことが、ずっと気になっていました。
私の恋人として――
付き合っていただけませんか?」
「こい……び……えええええ!?」
「はい。恋人として、です。」
「あの、バートさん。いえ、エセルベルト殿下!?」
「いままで通り、バートで結構ですよ。
自分の名前も古風なエセルベルトより、
エセルバートという読み方のほうが好きですから。」
「あっはい。バートさん。
えっと……その……。
今日から、この国の王様なんですよね?」
「はい。そういうことになりますね。」
「それで、あの付き合うということは……。」
「将来的なパートナーとして、という意味で考えていただいて結構です。」
「えっと、つまり……。」
「未来のシルバニア王妃に、なっていただけませんか?」
「……あの……
…………えっと。
……はい。よろしく、お願い、します。」