「……法員になる気はない、ということですか。」
「お生憎様。私は権力には興味ないの。」
「これは権力などではありません。
人を理性的に生かすための法作り、
いわば共同体としての提案なのですよ。」
「でも結局それを法として押しつけているんだから、同じ事でしょ?」
「どうにも話をご理解いただけないようですね。」
「話はそれだけ?
仕事の依頼があって忙しいの。
他になければお引き取り願えるかしら。」
「仕事?あなたが依頼を受けたのですか?」
「……なにか悪い?」
「いえ。珍しいこともあるものだと。
これは個人的興味なのですが、
一体どんな依頼を?」
「いーえ。貴方には関係のないことよ。」
「……けんもほろろですね。
まぁ仕方ありません。
これが最後と思っていたのですが――。」
「そうね。最後にして欲しいわ。」
「……では失礼。」
「いーえ。エーデル、玄関まで見送ってさしあげて。」
「はっ。」