Forbidden Palace Library / 『星降らす銀の天蓋』 /

■ メルセデス市
□ リリエンタール邸

エーデル 「あ、貴方は法の中の法たる創始者をどこまで愚弄する気だ!!!」

セディ 「ふっ。私はただ奴が天秤マニアだったと言ってるだけだ。
 別に愚弄しているつもりはない。
 それこそ、奴のように事実だけを述べているだけだ。」

エーデル 「ぐっ、ぐぬぬぬぬっ!」

セディ 「……しかし、この世界は本当に変なマニアが多いな。」

メルフィア 「何が?」

セディ 「ふっ、なんでもない。独り言だ。
 それはそうと依頼の品。
 完成を楽しみにしているぞ。」

メルフィア 「ええ。予定には充分間に合うわ。」


すたすたすた


ぱたんっ。

エーデル 「――帰られたようですね。」

メルフィア 「ええ。」

エーデル 「……少し安心しました。」

メルフィア 「何が? 口論してたのに安心?」

エーデル 「はい。それも含めて、先ほどの私とセディ様の話です。」

メルフィア 「え、何? やっぱり本当に二人はデキてるの?」

エーデル 「違いますっ! 何を瞳を輝かしているんですか!
 ……確かに下世話な話でしたが、
 久々にお嬢様の笑い顔を見た気がします。」

メルフィア 「そう?」

エーデル 「はい。
 お父上様が行方不明になられてから、
 ずっと心を閉ざされていたようでしたから。」

エーデル 「そのお父上様の名前が出た会話で、
 あれほどの笑みを湛えられたのは
 数年ぶりかと。」

メルフィア 「……そうだったかしら。」

エーデル 「それで、先程の親展のお手紙はどうなさいます?」

メルフィア 「あ、忘れるところだったわ。法院が何の用?」


ぱさっ

メルフィア 「――――!」

エーデル 「!? どうされました?」

メルフィア 「査問委員会からの、召喚令状だわ。」

エーデル 「なんですとっ!?」

メルフィア 「禁忌魔導開発の疑いにより、
 査問にかけると……。
 ……どういうこと?」



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