「あ、貴方は法の中の法たる創始者をどこまで愚弄する気だ!!!」
「ふっ。私はただ奴が天秤マニアだったと言ってるだけだ。
別に愚弄しているつもりはない。
それこそ、奴のように事実だけを述べているだけだ。」
「ぐっ、ぐぬぬぬぬっ!」
「……しかし、この世界は本当に変なマニアが多いな。」
「何が?」
「ふっ、なんでもない。独り言だ。
それはそうと依頼の品。
完成を楽しみにしているぞ。」
「ええ。予定には充分間に合うわ。」
「――帰られたようですね。」
「ええ。」
「……少し安心しました。」
「何が? 口論してたのに安心?」
「はい。それも含めて、先ほどの私とセディ様の話です。」
「え、何? やっぱり本当に二人はデキてるの?」
「違いますっ! 何を瞳を輝かしているんですか!
……確かに下世話な話でしたが、
久々にお嬢様の笑い顔を見た気がします。」
「そう?」
「はい。
お父上様が行方不明になられてから、
ずっと心を閉ざされていたようでしたから。」
「そのお父上様の名前が出た会話で、
あれほどの笑みを湛えられたのは
数年ぶりかと。」
「……そうだったかしら。」
「それで、先程の親展のお手紙はどうなさいます?」
「あ、忘れるところだったわ。法院が何の用?」
「――――!」
「!? どうされました?」
「査問委員会からの、召喚令状だわ。」
「なんですとっ!?」
「禁忌魔導開発の疑いにより、
査問にかけると……。
……どういうこと?」