Forbidden Palace Library / 『星降らす銀の天蓋』 /

■ 法都エルメキア
□ 法院密室

??? 「話は変わるが、
 メルフィア君。
 この図面に見覚えはないかね?」


はらりっ

メルフィア 「図面……?
 ……――!!!
 ちょっと待って、それはっ!」

??? 「そう。君の父親が書いたものだ。」

メルフィア 「どうして、どうしてここに!
 それは10年前にアトリエから無くなったのよ!
 持って行ったのはパパじゃなかったの!?」

??? 「持ち出したのが君の父親でないとすれば、
 他にそう心当たりは多くあるまい。
 君も薄々犯人に気づいていたはずだ。」

メルフィア 「――ヴェン、どこまで私達を裏切れば気が済むの……っ!」

??? 「とにかく、この計画は既に完成の域に近づいていてね。」

メルフィア 「!」

??? 「いや、もう殆ど完成していると
 言っても過言ではあるまい。
 そう、この『殆ど』というのが実に厄介な問題だ。」

メルフィア 「……?」

??? 「我々が入手したこの設計図は、肝心の一部分が欠けていてね。
 どうしてもそこの図面がなければ成り立たない。
 とすれば、それを探すしかあるまいて。」

??? 「幸いにして、心当たりのある場所はそう多くない。
 あるとすれば……そう、
 彼のいたアトリエぐらいしか残っていない。」

メルフィア 「まさか、そのために私を――っ!
 理由を見付けて呼び出したの!?
 本当の目的は――!!!」

??? 「もう遅い。今頃残りの図面は見付かっているはずだ。」

メルフィア 「……許せない。」

??? 「ならばどうする? 今のお前にできることは何も……」

メルフィア――シャラン・リィ・エリウクセス。

??? 「うん?」

メルフィアさやかなる輝きよ、散れ!

??? 「!!! 待て、ここは礼と法の支配する――」

メルフィア 「遅い!!! シャイニングダスト!!!


パキィィィィィィンっ

??? 「ぐぁあああっ!?」


たたたたたっ

??? 「に、逃げたぞっ! 誰か、誰か追えっ!」



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