(足音がどんどん増えてくる。
それも後方だけでなく、四方八方から。
金属音から推測するに、重装備兵も混じってる。)
(……重装備!? 捕まえるどころか、
もしかして場合によっては私を殺す気?
たかが図面一枚のために!?)
(これだから、人間なんて信用できないのよ!
それ以上に人間の作り上げた国家組織なんて信用できない!
人格の存在しない意志集合体。これほど恐ろしいものはないわ!)
「!!!」
(行き止まり!? しまった――罠にかけられていたの!?)
(屋根は高すぎて、ハイジャンプの魔導では届きそうにもない。
あるのは地中へと続く下水道の蓋だけ。
他の道は全て塞がれている……。)
(一か八か、この中を逃げるしかなさそうね。)
(このままじっとしていても捕まるだけだわ。その後どうなるかなんて想像するだに恐ろしい。
それぐらいなら、まだ下水道に潜った方がマシよ。
もっとも、出口が見付かるかは別の問題だけど――。)