Forbidden Palace Library / 『星降らす銀の天蓋』 /

■ 法都エルメキア
□ 裏路地


たったったっ

メルフィア (足音がどんどん増えてくる。
 それも後方だけでなく、四方八方から。
 金属音から推測するに、重装備兵も混じってる。)

メルフィア (……重装備!? 捕まえるどころか、
 もしかして場合によっては私を殺す気?
 たかが図面一枚のために!?)

メルフィア (これだから、人間なんて信用できないのよ!
 それ以上に人間の作り上げた国家組織なんて信用できない!
 人格の存在しない意志集合体。これほど恐ろしいものはないわ!)


たったったっ

メルフィア 「!!!」

メルフィア (行き止まり!? しまった――罠にかけられていたの!?)

メルフィア (屋根は高すぎて、ハイジャンプの魔導では届きそうにもない。
 あるのは地中へと続く下水道の蓋だけ。
 他の道は全て塞がれている……。)

メルフィア (一か八か、この中を逃げるしかなさそうね。)

メルフィア (このままじっとしていても捕まるだけだわ。その後どうなるかなんて想像するだに恐ろしい。
 それぐらいなら、まだ下水道に潜った方がマシよ。
 もっとも、出口が見付かるかは別の問題だけど――。)


ぎぃっ



次へ



▽目次に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-2006 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。