「………………。」
「………………。」
「あたし、こんなところで何やってるんだろう。
埃と泥まみれになって、
いつの間にか靴もどこかで片方なくして……。」
「……パパが行方不明になってから、
二度と泣かないって決めていたんだけどな。
あは……上、向かなきゃ。」
「……あたし、一人で生きてても無駄なのかな。
でも、こんなところで死んでも、
生きた世界に何も遺せない……本当に無駄になってしまう。」
「私の生きている役目は、何……?
こんなところで野垂れ死ぬために、
今まで生きてきたの……?」
「――もっと、上向かなきゃだめかな。」
「!?」
「どうやら、その様子だと査問は散々だったみたいだな。」
「っ!?
セディ!!!
な、なんで、こんなところに――っ。」
「ふっ、今更涙を拭くこともあるまい。」
「は、恥ずかしいのよっ!
それよりどうしてこんな所に!?
なんでここにいるの!?」
「法兵が地上で必死に捜索しているのを見かけてな。
もしやと思って潜ってみたのだが……。
見事正解だったみたいだな。」
「……セディ。」
「ふっ。なんだ?」
「やっぱり大きい涙がこぼれそうなの。何も言わず胸貸して。」
「!?」