「あのエーデルといったか、執事がいただろう。」
「ええ。彼がどうしたの?
――あっ!
家宅捜索……っ!」
「ほう、知っているのか。
ならば話は早い。
彼は連行される直前に逃走した。」
「!!!」
「今の所在は分からぬ。だが、捕まったという報も入っていない。」
「そう、ありがとう。
――それで思い出したわ。
セディ、貴方に一つ文句があるんだけど。」
「ふっ。何だ?」
「知らなかったわよ!あの剣が禁忌扱いだったなんて!!」
「誰がそんなことを言った。」
「査問会議でそう言われたわよ。ラファエル法違反だって。」
「ふっ、なるほど、その話か。
安心しろ。
貴様は決して法を犯してはいない。」
「いーえ。エルネストはもう存在していないのよ?だから――」
「貴様は確かにエルネストの許可の元、
音叉剣を製造していたのだ。
この私が保証する。」
「……セディ、あなたに保証されても。」
「ふっ。すぐにその意味を知るだろう。」
「?」
「その話は後だ。まずはここから出るぞ。」
「そうね――ってセディ、そうよ、貴方どこから入ってきたのよ?」
「この迷宮がかつて地上にあった頃と同じ構造のままならば、
出口から行き止まりの一つ一つに至るまで全ての道を覚えている。
どこか崩れた場所があれば保証の限りではないがな。」
「え、それってどういう――。
セディ、さっきの話といい、
貴方って一体…………。」
「ふっ、だから後で話してやる。
まずはこの場所を離れるのが先決だ。
いつまでもこのような汚い場所に居たくはないだろう。」
「ええ。」
「ならば、ついてこい。こっちだ。」