Forbidden Palace Library / 『星降らす銀の天蓋』 /

■ 法都エルメキア
□ 地下水道

セディ 「あのエーデルといったか、執事がいただろう。」

メルフィア 「ええ。彼がどうしたの?
 ――あっ!
 家宅捜索……っ!」

セディ 「ほう、知っているのか。
 ならば話は早い。
 彼は連行される直前に逃走した。」

メルフィア 「!!!」

セディ 「今の所在は分からぬ。だが、捕まったという報も入っていない。」

メルフィア 「そう、ありがとう。
 ――それで思い出したわ。
 セディ、貴方に一つ文句があるんだけど。」

セディ 「ふっ。何だ?」

メルフィア 「知らなかったわよ!あの剣が禁忌扱いだったなんて!!」

セディ 「誰がそんなことを言った。」

メルフィア 「査問会議でそう言われたわよ。ラファエル法違反だって。」

セディ 「ふっ、なるほど、その話か。
 安心しろ。
 貴様は決して法を犯してはいない。」

メルフィア 「いーえ。エルネストはもう存在していないのよ?だから――」

セディ 「貴様は確かにエルネストの許可の元、
 音叉剣を製造していたのだ。
 この私が保証する。」

メルフィア 「……セディ、あなたに保証されても。」

セディ 「ふっ。すぐにその意味を知るだろう。」

メルフィア 「?」

セディ 「その話は後だ。まずはここから出るぞ。」

メルフィア 「そうね――ってセディ、そうよ、貴方どこから入ってきたのよ?」

セディ 「この迷宮がかつて地上にあった頃と同じ構造のままならば、
 出口から行き止まりの一つ一つに至るまで全ての道を覚えている。
 どこか崩れた場所があれば保証の限りではないがな。」

メルフィア 「え、それってどういう――。
 セディ、さっきの話といい、
 貴方って一体…………。」

セディ 「ふっ、だから後で話してやる。
 まずはこの場所を離れるのが先決だ。
 いつまでもこのような汚い場所に居たくはないだろう。」

メルフィア 「ええ。」

セディ 「ならば、ついてこい。こっちだ。」



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