「これは、ひどいな。」
「……こんなに、やりたい放題に荒らして――。」
「数日留守にしただけで、
まるで廃屋のように変わるとは。
家の壁まで剥がした形跡がある。」
「ずっと、この家で……みんなを待っていたのに――。」
「…………。」
「無い、無いわ。本も、実験器具も、なにもかも。
思い出の品々もみんな持ち去られて……。
……あたしは、あたしは……ぅうっ。」
「泣きたければ泣くがいい。胸ぐらい貸してやろう。」
「――うぇっ……うぇっ……
うわぁあああああああああんっ!
うわぁあああああああああんっ!」
「…………。」
「ひぐっ……えうっ…………。」
「…………。」
「……パパ……ジェイド、ネフライト。
ごめんね。あたしの力が足りなくて、
この家、守れなかった……。」
「ふっ。自らを責めることはない。
一人で国家に抗ったところで、限界というものがある。
むしろ、それでもよく頑張った方だ。」
「…………。」
「ふっ。どうした?呆然とした顔して。」
「いーえ、
貴方に素直に褒められたのって
なんだか初めてな気がして。」
「ふっ。
そう思うならば、深く胸に刻んでおけ。
……そろそろ落ち着いたか?」
「……少しは。
けれど、もう、
ここに留まる理由はなくなっちゃったわね……。」
「この様子だと、依頼品も持ち去られたか。」
「……待って。あれは隠しておいたの。」
「何?」