「ねぇ……議会の方角の空が光ってる……。」
「ふっ。あの光、魔導の光とは少し違う。
どちらかと言えば魔力そのものの持つ輝きと
どことなく似ている。」
「……まさか、天蓋を――!」
「天蓋?」
「魔力増幅装置。
パパが行方不明になる前夜まで、ずっと設計していたの。
器械的な結界のようなものよ。」
「どういうことだ、説明しろ。」
「あの輝きは、魔力を帯びた無数の宇宙塵。
極小の隕石をそのまま地上に到達させているのよ。
大気圏で燃え尽きさせることなく、ね。」
「!?!?」
「天蓋は、そのための重力制御装置。
あいつら、まさか法院の屋根にそれを……!
よくも、ゆるせない!」
「ふっ、この国の連中は、一体何を始める気だ。」
「分からないわ。
けれどパパは、少なくともこんなことのために、
あの設計図を作ったんじゃない……っ!」
「……ふっ。
これでまた一つ、
今の法院を潰す理由が増えたな。」
「――お嬢様っ!!」
「!」
「!!」
「メルフィアお嬢様っ!」
「エーデル!」
「ふっ、無事だったか。残念だ。」
「お嬢様、ご無事でしたかっ!
……セディ様、貴方に一言二言いいたい所ですが、
今はお礼申し上げます。」
「ふっ、何がだ?」
「不祥なわたくしに代わり、お嬢様をお守り頂いたことを。」
「ふっ。当然だ。依頼品が無ければ困るからな。」
「エーデル、心配してたのよ。」
「申し訳ありません。
ですが、今後はそのようなことはもう致しません。
お嬢様、わたくしもお供致します!」
「エーデル……ありが」
「――エーデルヴァイス。貴様はここに残れ。」
「とっ!?」
「は?」