Forbidden Palace Library / 『星降らす銀の天蓋』 /

■ 法都エルメキア
□ 中心部第一環状線

メルフィア 「ねぇ……議会の方角の空が光ってる……。」

セディ 「ふっ。あの光、魔導の光とは少し違う。
 どちらかと言えば魔力そのものの持つ輝きと
 どことなく似ている。」

メルフィア 「……まさか、天蓋を――!」

セディ 「天蓋?」

メルフィア 「魔力増幅装置。
 パパが行方不明になる前夜まで、ずっと設計していたの。
 器械的な結界のようなものよ。」

セディ 「どういうことだ、説明しろ。」

メルフィア 「あの輝きは、魔力を帯びた無数の宇宙塵。
 極小の隕石をそのまま地上に到達させているのよ。
 大気圏で燃え尽きさせることなく、ね。」

セディ 「!?!?」

メルフィア 「天蓋は、そのための重力制御装置。
 あいつら、まさか法院の屋根にそれを……!
 よくも、ゆるせない!」

セディ 「ふっ、この国の連中は、一体何を始める気だ。」

メルフィア 「分からないわ。
 けれどパパは、少なくともこんなことのために、
 あの設計図を作ったんじゃない……っ!」

セディ 「……ふっ。
 これでまた一つ、
 今の法院を潰す理由が増えたな。」

エーデル 「――お嬢様っ!!」

メルフィア 「!」

セディ 「!!」

エーデル 「メルフィアお嬢様っ!」

メルフィア 「エーデル!」

セディ 「ふっ、無事だったか。残念だ。」

エーデル 「お嬢様、ご無事でしたかっ!
 ……セディ様、貴方に一言二言いいたい所ですが、
 今はお礼申し上げます。」

セディ 「ふっ、何がだ?」

エーデル 「不祥なわたくしに代わり、お嬢様をお守り頂いたことを。」

セディ 「ふっ。当然だ。依頼品が無ければ困るからな。」

メルフィア 「エーデル、心配してたのよ。」

エーデル 「申し訳ありません。
 ですが、今後はそのようなことはもう致しません。
 お嬢様、わたくしもお供致します!」

メルフィア 「エーデル……ありが」

セディ 「――エーデルヴァイス。貴様はここに残れ。」

メルフィア 「とっ!?」

エーデル 「は?」



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