「――以上の採決により、
法員優等法を全会一致で可決する物とする。
よって、エルメキアの全法民は――……」
「本日より下級法民と上級法民に分けられるものとする。」
「上級法民はあらゆる税金が免除され、
福祉・交通・訴訟などにおいても下級法民より
優先的な地位が法的に認められ、かつ保障される。」
「下級法民は上級法民の命令一切に従うこと。
下級法民は上級法民のために必要とあらば
労働力ないしはその対価となるべきものを献上し――……」
「そんな馬鹿な勝手は、許さない――。」
「何者だっ!?」
「なにふざけたこと抜かしてんのよっ!」
「メルフィア=リリエンタールっ!!!
まだ生きていたのか!
何しに戻ってきた!?」
「まったく、とんだ命知らずだな。
査問会議を脱走してまた戻ってきたと思ったら、
今度は説教かね。」
「残念だ。最高法師の特別の計らいにより、
君には上級法民の推薦状を出しても良いと
思っていたのだが。」
「そんなものこちらから願い下げだわ!」
「ふっ、その通りだ。
貴様等に下級も上級もない。
その分別こそが無意味だということに何故気づかぬ。」
「そうよ。
貴方達が行おうとしているのは
人間に対する隷属支配――」
「貴様等よりも上に立つのはこの私だけだ。
ふっ、他の下級人間がこの私と並ぼうなど、
言語道断。身の程を知れ。」
「……――は?」