『いつの日か、きっと』
「……あーっ!ちくしょーっ!」
「荒れるのはわかけるど落ち着けって、グリフィス。」
「これが落ち着いていられるか?
何もここまで村を破壊する事はねぇだろっ!
まるで文明そのものを壊してるみたいじゃねぇか!」
「アタイに怒るなよ。」
「いや、別にお前に怒ってるわけじゃないんだけどよ……。」
「これで戦争だってことぐらい、俺にも分かる。
けど、何もかも跡形残さず粉々にってのは、
酷すぎるんじゃねぇのか!?」
「破壊したいから破壊するんだろ。」
「……なぁ、レィディ。お前ちょっと冷静すぎない?」
「アンタが興奮しすぎているんだよ。」
「エンディルの奴ら……よほど俺達が憎いみたいだな。」
「憎い、ねぇ……。
だとしたらどうして建物ばかり破壊して、
人間を率先して殺そうとはしないんだい?」
「何いってんだ、実際死んでるだろうが、人間だって」
「確かにエンディルに刃向かった人間の中には死んだ奴もいる。
けど、無抵抗な一般人には手を上げようとしない。
ついでに言えば、建物を壊す前にも必ず警告付きだ。」
「……少なくとも今までは、な。」
「じゃあ奴らは、人間を殺すのが目的じゃないってのか?」
「そうなんじゃないの?」
「じゃあなんの目的なんだよ?」
「アタイに聞くなよ。エンディルの連中に聞けよ。」
「一番わかんねぇのがよ、
あいつら300年前にも攻めてきて、追い返されたわけだろ?
それでこりてないってことなのか?」
「そうまでしてでも、この世界に攻め入る必要があるんじゃないの?
アタイはよく知らないけど、
600年前のラファエル王国崩壊も、奴らが一枚噛んでるって話じゃないか。」
「何かを探すでもなく、人間を支配下に組み入れるでもなく、
ただ家屋や城壁を破壊し続ける……。
奴らの目的が全然見えてこねぇ。」
「アイツら全員解体屋なのかもしれないぜ。依頼主無しの。」
「冗談はやめろよ、レィディ。」
「アタイは可能性を述べただけだ。」
「……ん? レィディ、今の聞こえたか?」
「ああ、わかってる!子供の泣き声だっ!」
「この付近のガレキの中に埋もれているみたいだな……おい、聞こえるかっ!?」
「そこだっ!グリフィス、この屋根をどかすよっ!」
「おうっ!」