『いつの日か、きっと』
「はぁ……はぁっ……おい、そこのお嬢。」
「あ、ねぇ、見て見て。こんなにお花摘んだの。きれいでしょ?」
「ああ、どれも美しく咲いた花ばかりだな。
でも、ちょっとそれどころじゃないんだ。いいか、お嬢ちゃん。
これからアタイ達の言うことをよく聞くんだぞ?」
「???」
「俺達の後ろに隠れているんだぞ、何があっても」
「うんっ。どうして?」
「…………丘の向こうに、影が見えてきたな。」
「ああ、あれがエンディルか。本当だ、肌が青い。」
「!!! な、何、あの人達?」
「いい子だから、俺達の後ろに隠れてろよ。」
「ん!わかったっ!」
「……レィディ、すまねぇな、巻き込んじまって。」
「アタイの事なら気にするな。相棒だろ?」
「さんきゅ。
!!!
おい、一人だけ肌が極端に真っ青なのがいるぜ。」
「確かに鎧もひとまわり大きい……ということは奴がリーダーかもしれないね。」
「!!!」
「!!!」
「……異質だ。」
「ん?」
「他のエンディル達に比べて異様に肌の青いあの野郎……
何かが違う。体のサイズが大きいとかだけじゃなくて、
他のエンディル達と何かが違う気がするんだ」
「どういう意味で違うんだ?」
「桁が違う。」
「桁?」
「……それ以上適切な答えが思い浮かばねぇ。
…………奴と戦って、勝算はないかもしれない。そんな気がする。
けど、俺は、それでもこの子を守れるところまで守ってみせる!」
「こちらがわずか2人に対して向こうは1個旅団って所か……どう考えてもこっちが不利だけど、な。」
「それでも、やるしかねぇ!
俺は……
俺はこの子が危険な目に遭うのを黙ってみていることなんて出来ねぇっ!」
「………………」
「………………」
「………………」
「!!!…………エンディルめ……来るかっ!?」
「!!!
幸運はアタイ達に味方したようだね……。
グリフィス!横をっ!」
「横っ!?……なにっ!?」
「援軍だっ!シルバニア王立軍だっ!」
「……マジで1個師団はあるぞ……よっしゃあっ!」
「………………」
「おい、あいつら撤退していくぞっ!」
「援軍を見て勝ち目がないと思ったのか……それともただの偵察だったか?」
「……………………ふぅ……。」
「……あの怖いひとたち、行ったの?」
「ああ、もう大丈夫だ。」
「怖かったよぉっ!えーん、えーん。」
「よしよし。いい子だったね。何はともあれ、戦わずしてこの子を守れたようだな……。」
「ああ。」
「グリフィス、アンタの事、ちょっと見直したよ。」
「え?マジで?」
「そういう調子に乗るところさえなければ、な。」