Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『いつの日か、きっと』




10日後、大陸歴639年10月26日
バレンタイン港・軍舎内作戦会議室


ベル 「……なあ、レィディ。」

レィディ 「なんだい、グリフィス?」

ベル 「ここ10日ほどずっと考えていたんだけどよ、
 あの師団長、よほどの大物かよほどの馬鹿者だと思うんだが、
 お前はどっちだと思う?」

レィディ 「まぁ確かに、普通の師団長なら作戦会議に雇われ傭兵を招いたりはしないね。」

ベル 「で、どっちだと思う?」

レィディ 「アンタはどっちだと思うんだい?」

ベル 「なんとなく俺、あいつに親近感を憶えるんだ。だからよほどの大……」

レィディ 「ってことはよほどの大馬鹿者だね。」

ベル 「っておい、レィディ!」


がちゃ

マルス 「んんん。遅くなってごめん。
 ん?
 ……何か揉め事中?出直そうか?」

レィディ 「いえ、なんでもございません。
 こっちの話です。
 ところでエンディル達ですが、次の動きはいつ頃になると……」

マルス 「んんん。予測する限りじゃ、今日か明日だと思う。」

ベル 「……3日前もそんな事言っていなかったか?」

マルス 「んんん。内緒。」

レィディ 「他国の状況はどのようになっているのです?」

マルス 「んんん。ゾロディエールと名乗る奴が率いるグループは、
 ブランドブレイ王国で一戦を交えた後、今度はカイザリアの帝都に侵攻中の模様。
 ゼルイリアスと名乗る奴のグループは、残念ながらここ数日消息不明だ。」

レィディ 「そして、リーダー名の分からない最後の1グループが、ここバレンタイン港を襲撃。
 ……そう言えばエンディル達、常に3グループで動いているみたいですね。
 もしかするとそれ以上のグループ数では行動出来ない可能性もあるのでは……。」

ベル 「ゼルイリアス?
 ち、ちょっと待てよ。
 300年前の大戦の時も同じ名前の奴がいなかったか?」

マルス 「んんん。よく気付いたね。
 でも同一人物かどうかは不明。
 エンディルの寿命が相当長いとすれば、あり得る話だとは思うけど……。」

兵士 「伝令!
 バレンタイン港東部の草原に紫電を確認!
 おそらく前回と同一の部隊だと思われます!」

レィディ 「!!!」

ベル 「!!!」

兵士 「現在、バレンタイン港の我が軍と合流するために進軍中の  第1師団及び第3師団が現地へ直行中!  我が第6師団も出陣準備は調っています!」

マルス 「んんん、来たかっ!総員、出撃っ!」

ベル 「おうっ!」


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