『いつの日か、きっと』
「ちっ!敵味方が入り乱れていやがるっ!」
「マルスちゃんはこっちに向かっているのかしら?」
「だとしても、道路という道路がこう戦闘状態じゃここに来るまでどれだけかかるか……。」
「伝令!王都シルバニアへも敵侵攻中の模様!」
「うん、王都に!?向こうの状況は?」
「詳細は不明です!
未確認ですが、一人の魔導師が城壁の前でエンディルの侵攻を
くい止めているという情報も入っております!」
「一人で!?魔導師がっ!?」
「他の戦況がどうであれ、アタイ達は今ここで全力を尽くすしかない。」
「……そうね。バレンタイン港、ここを守らなければ王都への食物の流通は半減するわ。」
UUOPQMN KVWEA CAB !」
「ジュリアさん、あぶないっ!」
「ア、アークライト……」
「つぁっ!失せろっ!」
ZAG ....」
「……凄ぇ腕前……一撃で……」
「……ジュリアさん、ごめんなさい。」
「……どうして。
どうしてアークライトが謝るのよ……。
助けて貰ったのは私じゃない……。」
「いえ、半径5メートル以内に近づいちゃったから……。」
「……馬鹿。」
「ジュリアさん?一体何を顔赤くしているんですか?」
「……恥ずかしいのよ。」
「うん?」
「気がついたらアークライトの事を……
幼なじみじゃなくて一人の男性として意識してて、
側にいるとなんか恥ずかしくなってくるからいやだったのよっ!」
「……それって、僕を好きって事ですか?」
「馬鹿っ!そんな露骨に言わないでよっ!」
「……ジュリアさん、耳まで真っ赤。」
「う、うるさいわねっ!」
「……僕、ずっとジュリアさんに嫌われていると思ってました。」
「違うのよ。
素直になろうとすればするほど……
心で思っていることとは正反対のことばかり口に出てきて。くすん……くすん……」
「……今は、素直なんですね。」
「だって……仕方ないじゃない。
私の気持ち、ずっとかくしてたのにバレちゃったもの……。
……アークライトはどう思っているのよ?」
「後で、答えます。
ですから今はその事を忘れて下さい。
僕たちにはまだやることがありますからね……。」
「その通り。
悪いがお二人さん、状況はあまり芳しくないようだぜ。
これだけ敵味方が入り乱れているからな……」
「完全にアタイらはフイを突かれたわけだからね」
「おい、向こうの曲がり角からまたエンディルが来るぞっ!」
「爆発っ!?」
「あっ!マルスっ!」
「いたっ!屋根の上っ!?」
「……何やってんだ、あんなところで?」
「んんんっ!
ここはマルス君が引き受けよう。
君たち4人は敵のリーダーを探してくれっ!」
「……わかったわ。」
「マルス、後は頼んだぞっ!」
「んんんっ!この両手の試験管にかけてっ!」
「……よ、よくわからんが後はまかせたっ!」
「うん、行こうっ!」
「……んんんっ!これで心おきなく爆発がおこせるっ!」