Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『いつの日か、きっと』




バレンタイン港・市街地

レィディ 「てやっ!つぁっ!」


キンっ キンっ


だだだだだっ

ベル 「どこにいやがる、ザッハトゥリエっ!!!」

ザッハトゥリエ 「……呼んだか?ここにいる。」

ベル 「!!!」

アークライト 「おい、ザッハトルテとやらっ!
 これ以上大陸を荒らされると……
 帰り道が分からなくなるんだよっ!」

レィディ 「…………。」

ユリア 「…………。」

ベル 「……ア、アーク、頼む、こんな時に笑わせるな……っ……!」

ザッハトゥリエ 「それは随分面白い理由だな、アークとやら。」

アークライト 「俺は真剣なんだ!仕方ないだろ、勝手に足が変な方向へ動くんだから!」

ザッハトゥリエ 「ん? 汝……なにやら空間の歪みを背負っているな。」

アークライト 「歪み?」

ザッハトゥリエ 「まさか600年前のあの時、
 フィリスディールが……そうか、
 そういうことか。」

アークライト 「???」

ザッハトゥリエ 「魔導文明の存在が故に、
 その歪みを回復することができないようだな。
 ならばこそ、汝らの世界より魔導を消さねばならぬ!」


レィディ 「一つ聞きたい。どうしてそこまでして、魔導を憎む?」

ザッハトゥリエ 「魔導は人に過信を産む。
 そしてその過信が滅亡を招く。
 それを阻止する為に。」


レィディ 「つまり、アンタはアタイ達の事を思って攻撃しているっていう事なのかい?」

ザッハトゥリエ 「そうだ。
 諸君この世界の人間が魔導を捨てるならば、
 我も攻撃はやめる。」


ユリア 「魔導を捨てるですって?
 つまりそれは今の文明を捨てろっていうことなの?
 ダメよ、そんなことしたら夜がもっと暗くなるじゃないのっ!」

ベル 「おい、ユリア、それも何か違うと思うんだが……。」

ザッハトゥリエ 「人としての原点に帰ればよい。」

ユリア 「原点?なによ、それはっ!」

ザッハトゥリエ 「どこの世界の人類も、かつては文明など持っていなかったのだ。
 やがて火を利用することを覚え、道具を生み出す事で進化してきた。
 だがこの世界の人間は、どこかで『魔導』という過った力を手にした。」


ユリア 「有史以前ってこと?
 知らないわよっ!そんな昔の事なんか、
 あたしたちの歴史には残ってないわよっ!」

レィディ 「アンタは、アンタは一体何者なのさっ!」

ザッハトゥリエ 「人類としての制約を越えた人類。終焉の後に在りし人類。
 また世界の全ての力を持つ者。あるいは誤りの存在。
 それが我やゼルイリアス・そしてゾロディエールだ。」


ベル 「……つまり俺達には理解できないって言いたいのか?」

アークライト 「そうらしいね。」

ザッハトゥリエ 「今一度、問う。
 魔導の全てを捨て、原始の生活に戻れ。
 さもなくば力ずくでも汝らの文明を破壊する。」


ベル 「……断る。文明放棄などできるわけがない。」

ザッハトゥリエ 「ならば戦うのみ。」

ベル 「どうやらその様だな……。」

ユリア 「アークライト、グリフィスちゃん、レィディちゃん、援護するわっ!」

ベル 「頼むぜ。」

アークライト 「了解!」

レィディ 「アイヨっ!」

ベル 「……いくぞっ!!!」


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