『いつの日か、きっと』
「てやっ!つぁっ!」
「どこにいやがる、ザッハトゥリエっ!!!」
「……呼んだか?ここにいる。」
「!!!」
「おい、ザッハトルテとやらっ!
これ以上大陸を荒らされると……
帰り道が分からなくなるんだよっ!」
「…………。」
「…………。」
「……ア、アーク、頼む、こんな時に笑わせるな……っ……!」
「それは随分面白い理由だな、アークとやら。」
「俺は真剣なんだ!仕方ないだろ、勝手に足が変な方向へ動くんだから!」
「ん? 汝……なにやら空間の歪みを背負っているな。」
「歪み?」
「まさか600年前のあの時、
フィリスディールが……そうか、
そういうことか。」
「???」
「魔導文明の存在が故に、
その歪みを回復することができないようだな。
ならばこそ、汝らの世界より魔導を消さねばならぬ!」
「一つ聞きたい。どうしてそこまでして、魔導を憎む?」
「魔導は人に過信を産む。
そしてその過信が滅亡を招く。
それを阻止する為に。」
「つまり、アンタはアタイ達の事を思って攻撃しているっていう事なのかい?」
「そうだ。
諸君この世界の人間が魔導を捨てるならば、
我も攻撃はやめる。」
「魔導を捨てるですって?
つまりそれは今の文明を捨てろっていうことなの?
ダメよ、そんなことしたら夜がもっと暗くなるじゃないのっ!」
「おい、ユリア、それも何か違うと思うんだが……。」
「人としての原点に帰ればよい。」
「原点?なによ、それはっ!」
「どこの世界の人類も、かつては文明など持っていなかったのだ。
やがて火を利用することを覚え、道具を生み出す事で進化してきた。
だがこの世界の人間は、どこかで『魔導』という過った力を手にした。」
「有史以前ってこと?
知らないわよっ!そんな昔の事なんか、
あたしたちの歴史には残ってないわよっ!」
「アンタは、アンタは一体何者なのさっ!」
「人類としての制約を越えた人類。終焉の後に在りし人類。
また世界の全ての力を持つ者。あるいは誤りの存在。
それが我やゼルイリアス・そしてゾロディエールだ。」
「……つまり俺達には理解できないって言いたいのか?」
「そうらしいね。」
「今一度、問う。
魔導の全てを捨て、原始の生活に戻れ。
さもなくば力ずくでも汝らの文明を破壊する。」
「……断る。文明放棄などできるわけがない。」
「ならば戦うのみ。」
「どうやらその様だな……。」
「アークライト、グリフィスちゃん、レィディちゃん、援護するわっ!」
「頼むぜ。」
「了解!」
「アイヨっ!」
「……いくぞっ!!!」