Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『終わらない夢の果てに』



ジェラード 「……誰だ、貴様は?」

アートレーゼ 「――アートレーゼ。」

ジェラード 「エンディル……奴の仲間なのか?」

アートレーゼ 「そうね……でも違うと言えば違うのかも。」

ジェラード 「?」

アートレーゼ 「確かに私はヒト科エンディル。
 でも、ゾロディエールの仲間ではないわ。
 私は別に魔導文明を滅ぼす気はないもの。」

ジェラード 「……どういうことだ?
 エンディルは全員が全員、
 魔導文明に恨みを抱いているのではないのか?」

アートレーゼ 「確かにそういう者がほとんどなのは否定しないわ。
 でも中には私みたいにそうでない者もいるのよ。
 だから――あの世界は、追い出されちゃったけど。」

ジェラード 「ならばこの世界になにをしに来た、アートレーゼ。」

アートレーゼ 「気になったから見に来たのよ、
 彼らの魔導文明殲滅というのがどういうものなのか――。
 私はただの傍観者。敵でも味方でもないわ。」

ジェラード 「……助けなどいらない。
 自分の世界は自分で守ってこそ、
 価値があるものだ。」

アートレーゼ 「いいこと言うわね……えっと、」

ジェラード 「ジェラード。
 ジェラード=コペルニクス。
 ちゃきーん。」

アートレーゼ 「ジェラード……古代ゲルマン語で『槍の守護者』の意ね。」

ジェラード 「古代ゲル……それはなんだ?」

アートレーゼ 「分からなければいいの、ジェラード。
 ……ところでさっきからずっと気になっているんだけど、
 その手にしているものはなに?」

ジェラード 「俺様の華麗なる高枝切りバサミだ。」

アートレーゼ 「…………それ、武器なの?」

ジェラード 「一応な。ちゃきーん。」

アートレーゼ 「……そ、そう。
 それで、対抗する気なの?
 あれに。」

ジェラード 「あれに?どれだ?」

アートレーゼ 「あっち。」


きゅうううんっ


どぉぉおおおんっ


ジェラード 「!!! まさかゾロディエールの攻撃か!?」

アートレーゼ 「助ける気なら、急いだ方がいいみたいよ……あの街が破壊される前に。」


▽ ……。



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