『終わらない夢の果てに』
「……誰だ、貴様は?」
「――アートレーゼ。」
「エンディル……奴の仲間なのか?」
「そうね……でも違うと言えば違うのかも。」
「?」
「確かに私はヒト科エンディル。
でも、ゾロディエールの仲間ではないわ。
私は別に魔導文明を滅ぼす気はないもの。」
「……どういうことだ?
エンディルは全員が全員、
魔導文明に恨みを抱いているのではないのか?」
「確かにそういう者がほとんどなのは否定しないわ。
でも中には私みたいにそうでない者もいるのよ。
だから――あの世界は、追い出されちゃったけど。」
「ならばこの世界になにをしに来た、アートレーゼ。」
「気になったから見に来たのよ、
彼らの魔導文明殲滅というのがどういうものなのか――。
私はただの傍観者。敵でも味方でもないわ。」
「……助けなどいらない。
自分の世界は自分で守ってこそ、
価値があるものだ。」
「いいこと言うわね……えっと、」
「ジェラード。
ジェラード=コペルニクス。
ちゃきーん。」
「ジェラード……古代ゲルマン語で『槍の守護者』の意ね。」
「古代ゲル……それはなんだ?」
「分からなければいいの、ジェラード。
……ところでさっきからずっと気になっているんだけど、
その手にしているものはなに?」
「俺様の華麗なる高枝切りバサミだ。」
「…………それ、武器なの?」
「一応な。ちゃきーん。」
「……そ、そう。
それで、対抗する気なの?
あれに。」
「あれに?どれだ?」
「あっち。」
「!!! まさかゾロディエールの攻撃か!?」
「助ける気なら、急いだ方がいいみたいよ……あの街が破壊される前に。」