『終わらない夢の果てに』
カイザリア帝国 宿場街ベルティエンテ ブランドブレイとカイザリアを繋ぐ、街道の中間に位置する宿場町ベルティエンテ。 古代大陸語で「斜面(vertiente)」を意味するというその街は、名の如く丘の斜面に位置している。 そのなだらかな斜面一帯に街が広がっていたはずだが、もうその面影は半分も残ってはいない。 斜面の上から落とされた建築物が雪崩となって、次々と下方に位置する住居を飲み込んでいく。 |
「……脆い物だな、人間の生み出す都市というのは。」
「街が斜面に建っているが故に、高所からの崩壊に弱い。
特に傾斜のきついところを動かしてやれば、
それだけで麓まで影響が出る。
地形を有効活用できるというのは嬉しいことだな。」
「……見つけたわ。」
「!?」
「ゾロディエール!!!
よくも父と母の命をっ!!!
覚悟っ!!!」
「!……ふんっ!」
「っ…………!」
「剣の持ち方はなかなか様になっていたようだが、
たかが足払いで転倒するとは。
多少の訓練は積んでいても実戦経験は皆無と見た。」
「ぐっ…………!」
「……そうか、
見覚えがあると思えばいつぞや倒した騎士団長の娘か。
大方、両親の仇討ちといったところか。
そこまで死に急ぐならばよかろう。」
「やめろっ!」
「やめろ! 俺様が身代わりだ。」
「!」