Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『終わらない夢の果てに』



アリス 「どうして邪魔したのよっ!!!
 私はゾロディエールを許せない! 父と母の仇……絶対に許せない!
 私は負けるわけにはいかない。なのにどうして!」

ジェラード 「やめろっ!!!」


パシィィィィン!


アリス 「きゃっ……なにするのよっ!」

ジェラード 「貴様のような小娘が剣を手に取ったところで何になる?
 言っただろう、戦いは無益だと!
 争い、血を流したところで何も得られる物はない!」

アリス 「父も母も、目の前で殺されたのよ!?
 それを黙って見過ごせっていうの!?
 こんなところで負けてもいいっていうの!?」

ジェラード 「……もし貴様が死んだなら、
 その小さい弟の面倒は誰が見るんだ?
 唯一の祖父とてもうあまり長くはないのだろう?」

アリス 「…………だからって。」

ジェラード 「戦うだけが全てではない。
 勝ち負けだけが全てではない。
 そんな定規で計れないものはいくらでもある。」

アリス 「だからって!!!
 じゃあ私はどうすればいいの!?
 ただ黙って指をくわえていればいいのっ!?」

ジェラード 「……アリス。貴様は帰るんだ、新しい故郷シルバニアへ。
 そして弟を守ってやれ、なにがあっても。
 未来が残されているのに、自ら命を捨てる必要はない。」

アリス 「…………。」

ジェラード 「貴様の父……
 ノーベル7月騎士団長の最期の言葉を忘れたのか?
 『いまからお前がデニスの母親代わりだ』と。」

アリス 「!」

ジェラード 「……遺言を継ぐのだ。
 本当に亡き貴様の両親を想うならば剣を捨てろ、二度と手にするな。
 最期の言葉を胸に刻み、そして忘れるな。」

アリス 「…………。」

ジェラード 「ゾロディエールのことは俺様が引き受ける。だから――」

アリス 「え……?」

ジェラード 「もう一度言う。
 後は俺様に任せて、シルバニアに帰るんだ。
 いいな?」

アリス 「…………。」

ジェラード 「……いいな?」

アリス 「……はい。」


▽ ……。



▽ 目次に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-2000 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。